The Scientific Seiko
下巻
p.11
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For Beginners
著者:72k K.
小学校でシリウスが1等星だとか北極星が2等星だとかって習いますよね。このように、星の明るさを表す指標には等級というものが存在します。数字が小さいほど明るい星、大きいほど暗い星であることを表します。しかし、等級には様々な種類があり、地球から見ときの明るさを示す見かけの等級や天体そのものの明るさを示す絶対等級などがあります。ここでは、見かけの等級と絶対等級について紹介したいと思います。
見かけの等級(apparent magnitude)とは、先述の通り地球から見たときの明るさを示す指標です。主に天体自体の明るさと地球からその天体までの距離で決まります。
現在では見かけの等級をきちんと数値化することが出来ますが、昔は目で見たときの明るさの違いを1~6等星の6段階で表しただけのものでした。この分類の仕方を考案したのは、古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスで、紀元前のことです。その後、16世紀になって望遠鏡が発明され、肉眼では見えない星も見ることができるようになり、より暗い星は7等星や8等星とされました。ただ、この当時は統一した基準がなく、等級の値は整数のみでした。
現在まで使われている等級の定義を決定したのは、イギリスの天文学者ノーマン・ロバート・ポグソンです。ポグソンは1等星の明るさは6等星の100倍であり、1等級ごとの違いは倍であるとしました。また、はポグソン比(Pogson’s ratio)と呼ばれます。
このポグソンによる見かけの等級の定義によって、実際に値を計算で出せるようになりました。
基準となる星の等級を、そのフラックス(明るさと思ってください)の測定値をとし、求めたい星の等級を、フラックスをとすると、
※のときとなります
と表されます。
このとき重要なのが、基準の星をどうするかです。最初は北極星の見かけの等級を2と定めて計算していたそうですが、北極星が変光星であることが判明し、基準の星として用いられなくなりました。現在は複数の恒星を特定の波長フィルターに通して測光した場合の平均値を元に計算されているそうです(僕にはよく分かりません)。
そして、ここから式の導出を書こうと思っていましたが、書くのがかなり面倒なのでやめます。どうしてもという方は、ご自身で調べてください。
絶対等級(absolute magnitude)とは天体を10pc(≒32.62光年)の距離から見たときの等級のことです(pc(パーセク)については後ほど紹介します)。つまり、絶対等級は、天体を10pcという距離だけ離れた地点から観測した場合の見かけの等級を比較することで、恒星本来の明るさを調べようという指標です。
ここでパーセクの簡単な紹介をしたいと思います。パーセクは天文学でよく用いられる距離の単位で、1pcが年周視差が1秒角となる距離と定義され、
となります。この導出は僕には分からなかったので省きます。ここで、年周視差(stellar parallax, annual parallax)とは、地球の公転によって天体の見かけの位置が変わること、あるいはその変化量を指します。また、秒角(秒)というのは、度のさらに小さな角度を表す単位で、
となります。年周視差は非常に小さいので、一般に度ではなく秒を使います。
次に絶対等級と見かけの等級の関係式について書きたいと思います。天体の絶対等級を、見かけの等級を、地球から天体までの距離をとすると、
と表されます。これも導出は難しいので省略です。
最後に書くことが思い浮かばなかったのでここから先はChatGPTに任せようと思います。
こうして見てみると、「見かけの等級」は地球から見た星の姿を、「絶対等級」はその星本来の明るさを教えてくれるものだと分かります。夜空に輝く星々は、私たちの目には同じように見えても、本当はとても遠かったり、実は太陽よりもずっと明るかったりと、それぞれに個性があります。等級を知ることで、ただ眺めるだけでは気づけない星たちの本当の姿に、少し近づける気がしますね。